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20 じいさん、教授に相談される

Author: satomi
last update Last Updated: 2025-07-06 07:18:03

「佐藤君、柊君の育て方を教えてもらったが、アメとムチで本当にいいんだろうか?君の言うことだから、信じるが……」

「柊君はアメの部分を脳内変換するんですよ。言葉通りには受け取りません。大金星でもとったかのように私にドヤ顔してきますよ。ムチは言葉通りに受け取るようですね」

「そうなのか……ちょっとほめただけでいいという事かな?」

「そうですね」

 教授たちにも面倒をかけて、仕方のない人間だ。

「単位もギリギリだし、成績もギリギリだし、参ってるんだよ」

 それは私もだ。妙に懐かれてるし。

「ごろーっち!どうやら俺は教授らに気に入られているらしい」

 目をかけているのは確かだな。手がかかるのか?本人が思っているのならばそっとしておくのが吉というものだろう。

 とはいえ……

「ダイ、お前は褒められて伸びるタイプだからなぁ。逆にいうとけなされると折れて凹んで落ち込んでどうしようもないタイプだ」

「えー、何それー。俺すごいメンタル弱いじゃん」

 事実だから仕方ないだろう。

「私はダイをいくらでも凹ませられるが?」

「いやーん。ごろーっちったら、やめてよー」

 私は本気だがダイが嫌なのも本気なんだろう。

 体は若返ったというのに、脳はどうなんだろ?ダイの脳よりはマシだろう。若さと関係あるのか?

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  • 死にかけの爺さんが『18歳よ、もう一度』   24 じいさん、キセキを見る

     ダイは就職面接を受けた。もちろん不採用。もちろんというのもオカシイけどなぁ。でもダイだし。 いつものバイトのイメージで行ったらしい。 バイト先は我々を『バイトの人間』として見ているから就職面接とは全く違うんだが。「ごろーっちって就活しないのー?」 就活?私はすまほで素早く調べた。私は成長した。すまほでの検索が速くなった。「就職活動か。まぁ、色々なぁ。私も考えてはいる」「ごろーっちなら引っ張りだこだよねー、いーよねー」 だから、私はずっと努力をしてきたのだ。「ダイも何かに力を注ぎ続ければいい。いずれ役に立つ」とだけ言った。 私は専門科目と卒業論文とで時間に余裕ができたのでいつものように息子の会社でバイトをすることにしている。 このこともダイは「いーなー」とか言うが、私には十分な単位があるから問題ない。 こういう所も私の不断の努力とダイの怠惰の違いだろう。 それを「いーなー」と言われても私は困る。 なんと、ダイから驚天動地となる知らせを受けた。「ごろーっち、おはよー!」上機嫌だなとは思ったが、本当に驚いた。「いやぁ、よかったぁー。こんな俺でも一流商社って入社できるんだな」 ん?年寄りとして耳がおかしくなったのだろうか?「俺が一流商社だぜ?キセキじゃね?」 そうだな。明日地球……いや宇宙が消滅するやもしれない。「なんかー、面接官の人と話が合っちゃって採用!みたいな?」 そんなんでいいのか?「あー、ダイ。良かったなぁ。ダイの就職先決まったから言うが、私はこの大学の教授に大学院に誘われている。あと、いつもバイトに行ってるだろ?あの会社にも誘われてる。言うのが公平だろう」「ごろーっち、真面目ー。そっかぁ、わかったー」 何を?それにしてもダイを採用する奇特な一流商社……。ダイは人懐っこいし、うまくやっていくだろう。バイトもできるようになったし。 なんだか肩の荷が下りた気分だ。 しかし教授は言う。「卒業論文のテーマは決まったのか」と。

  • 死にかけの爺さんが『18歳よ、もう一度』   23 じいさん、大学3年生になる。

     3年になった。専門科目も増えたのでダイは不満をブツブツ言いながら「ごろーっち、おはよー」と登校してくる。 1年から成長しない男だ。 就職活動も頭の隅になくてはならない。 とはいえ、私は教授に大学院に誘われてるし(試験はある)、息子の会社に正社員で誘われているので問題はない。 問題はダイだ。 とにかく見た目だけでも、脱・チャラ男でないといけない。言動も社会人としてふさわしい姿にならなければならない。 ダイ曰く「ごろーっち、ズルいー」 ズルいのではなく、私の不断の努力なのだから仕方ないだろう。 とりあえず、茶髪にピアスはやめろと言った。清潔感が大事とも言っておいた。 うーん、見た目。どうしたものか。体験すればわかるだろう。バイトのところの10倍は厳しい目で見られる。とも伝えた。 そもそも、ダイはどんな職種に就職したいんだ? なにか『一流商社』というのを耳にした気がするが気のせいだろう。「ごろーっち、俺は一流商社に就職してー、エリートでー、キレーな奥さんもらって老後は楽するんだ」 確かに言ってる……『一流商社』。「ダイ、一流商社に就職するならなぁ、英検とか検定いっぱいないとなぁ」「履歴書にそんなに書けないよー」「うん、書ききれないくらいあるとすごいね。あ、使えるやつね」「今からじゃ難しいなぁー、がんばろー」 と気のない返事をした。 大丈夫か?こいつ。

  • 死にかけの爺さんが『18歳よ、もう一度』   22 じいさん、ダイの将来を心配する。

     次の月曜「ごろーっちー。おはよー」と午前の講義にダイが現れた。「アルコールって怖いね」いや、全く。危うく、ダイの介抱をする羽目になりそうだったし。「気づけば見知らぬ女とラブホにいた。正直タイプじゃなかったんだよねー。酔ってたから関係があったかどうかもわかんないし」 だから気をつけろって言ったのに。「悪いな。私に言い寄ってた女を預ける形になって」「そうだよー」「でもダイは『俺にしとかない?』って横から入ったんだ」「覚えてない……」「記憶をなくすほどの飲酒はダメだ。自分の限界を知ることだな。昨日のお前は明らかに限界を越えていた。浮かれてたしな。ほら、講義始まるぞー」「ゔ―、頭痛い。帰るー」「コラ!さっき来たばかりだろう?自業自得だ」 ダイのような学生ばかりでないと願うばかりだ。  私はダイについて考えるようになった。 あんなに軽くて将来やっていけるのだろうか?今は私が近くにいるがいずれは離れるのだ。むしろ離れたい。「ごろーっち、おはよー!」と爽やかに現れた。「学食行こーぜ、学食」久しぶりに午後から登校でなんだか元気いっぱいだなぁ。 うーん、社会はそんなに甘くないぞ。減給・首切り・左遷……なんでもアリだな。親御さんの胃腸がしのばれる。「ダイ、そんなにダラダラ生活していては社会に出てから苦労するぞ。お金が稼げない人間に人はついてこない。すなわちモテない。と言っているのだ」 この私の『モテない』という言葉が功を奏したのか、次の日からは規則正しく……にはまだ遠いが前よりはマシになった。 とりあえず、教授達と親御さんの胃腸も少しは守られた。  だが、ダイは恐るべき三日坊主だった……。「ごろーっちぃ~、おはよー」と消え入るような声で声をかけてきた。「低血圧なのか?」と聞いても「いたって普通」と答えるし、手の打ちようがない。 もう教授達と親御さんの胃腸は祈り、神のみぞ知るといったところだろう。

  • 死にかけの爺さんが『18歳よ、もう一度』   21 じいさん、ダイと飲む

    「ごろーっち!俺、今日誕生日。祝って!」 祝えと言われてもなぁ。「ハタチだよ!今日から合法的に酒が飲めるの!」 という事は、今まで違法的に酒を飲んでいたという事だな?自ら告白するとはやはり馬鹿だな。 あー、酒か……。昔は飲んだなぁ。私は飽きつつあるんだけど、ビールとか。「一緒に飲みにいこーぜ!」 私はまだ未成年だ。「未成年を飲みに誘うのではない。アルコールは飲みなれてない人間が飲むとアルコール中毒になるぞ」「えー?そのくらいわかるよー」 飲んだことないのにわかるってあり得ないだろう? そして、アルコールを飲むと……「ダイ、もう飲むのはやめておけ」 私はウーロン茶を飲んでいる。ダイの顔は真っ赤になっている。 私はこの男を介抱するのもお断り。そもそも、ダイの住所知らない。 うわっ、私が見知らぬ婦女子に誘われつつある。そんな時、酔ったダイが「俺にしとかない?」と横から入った。ダイにしておけ。見知らぬ人に申し訳ないが。 初アルコールのダイを介抱してほしいし、私としては願ってもない。 私は「門限がある」と嘘をついてその場を去った。 ダイも黙っていればイケメンの部類なんだろうけどなぁ。 こういうのを『残念イケメン』というのだろうか?

  • 死にかけの爺さんが『18歳よ、もう一度』   20 じいさん、教授に相談される

    「佐藤君、柊君の育て方を教えてもらったが、アメとムチで本当にいいんだろうか?君の言うことだから、信じるが……」「柊君はアメの部分を脳内変換するんですよ。言葉通りには受け取りません。大金星でもとったかのように私にドヤ顔してきますよ。ムチは言葉通りに受け取るようですね」「そうなのか……ちょっとほめただけでいいという事かな?」「そうですね」 教授たちにも面倒をかけて、仕方のない人間だ。「単位もギリギリだし、成績もギリギリだし、参ってるんだよ」 それは私もだ。妙に懐かれてるし。「ごろーっち!どうやら俺は教授らに気に入られているらしい」 目をかけているのは確かだな。手がかかるのか?本人が思っているのならばそっとしておくのが吉というものだろう。 とはいえ……「ダイ、お前は褒められて伸びるタイプだからなぁ。逆にいうとけなされると折れて凹んで落ち込んでどうしようもないタイプだ」「えー、何それー。俺すごいメンタル弱いじゃん」 事実だから仕方ないだろう。「私はダイをいくらでも凹ませられるが?」「いやーん。ごろーっちったら、やめてよー」 私は本気だがダイが嫌なのも本気なんだろう。 体は若返ったというのに、脳はどうなんだろ?ダイの脳よりはマシだろう。若さと関係あるのか?

  • 死にかけの爺さんが『18歳よ、もう一度』   19 じいさん、大学2年生になる。

     2年になった。 私の生活は特に変わらない。専門科目も受講できるようになったくらいだ。 これは必修。1講目からの場合もある。 私には関係ないが、ダイには大問題らしい。いつも昼から重役登校だったからな。「ごろーっちぃ、おはよー」 うむ、午前中だから正しいな。「大学2年目にして初めて午前から登校じゃないのか?」「そうなんだよー」 マジか?冗談だったんだが……。よく進級したな、こいつ。「何で午前中から専門の講義あるんだよ!頭が眠ってるよー」 いつも眠ってるだろ。と内心思った。「で、今朝は何時に起きたんだ?」「よくぞ聞いてくれた、さすがごろーっち!きのーの夜ははしゃいで盛り上がって、えーっと2時間前くらい?」 私は軽く殺意が芽生えてしまった。「酒は飲んでないよな。お前も私もまだ未成年のはず」「飲んでないよー。徹夜でカラオケ?」 私に聞くな。まさに未成年。成人ですと言い難いなぁ。でも車の免許は持ってるんだよな。「なぁ、なんでこの大学選んだんだよ?毎日午後から登校してきて。親御さんに申し訳なくおもわないのか?」「んー、難しいことはわからないけど、就職の時に履歴書に高卒よりも4大卒の方が印象がよくない?」 まぁ、そうだな。「そうでなくてだなぁ、数ある大学の中から何でこの大学なんだ?って質問だ、バカ」「ごろーっちにバカって言われちゃった。てへ♡」 喜ぶな、変態。「えー、家が近いから?」 私に聞くな。そして、そんな理由で親御さんに学費を……。「専門学校に行って、資格取った方がよかったんじゃないか?」「えー?専門学校は確実に単位取らないとダメだからやだー」 なめられてるな、大学。「ほら、初・午前の講義が始まるぞ」  昼食に赤飯でも奢ってやろうか?

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